Welcome to Mindful Planet

2009年7月27日月曜日

ニューメキシコの天球


久しぶりにニューメキシコに行ってきた。私の住むバンクーバーは雨が多く緑が濃い水と木のイン(陰)の地なら、ニューメキシコは陽光が燦々として乾燥した大地や鉱物のパワーを強く感じるヤン(陽)の地。まったく別の星に来たようなすがすがしさがある。
 緯度が高いせいなのか湿度が低いせいなのか、ニューメキシコの空は実に立体的な三次元の天界。陽光が射す向きもはっきりしているし、雨も局地的で、じょうろで水をかけたように、暗雲からシャワーが降っているのが見て取れる。
 こうした豪快な空の下にいると、自然を大いなる神秘、すべての創造主と信じるネイティブの人たちの信条に共感を覚え、人間界の右往左往も様々な問題もちっぽけでどうでもよいことに思えてくる。
 仕事柄もあって普段の都市生活のなかでは、社会や政治の動きを常に「監視」していないと落ち着かないニュース・ジャンキーの私も、ホテルに戻ってもテレビなどつける気はしなくなる。そして世界の時事・事象に無頓着になると、人間界がどうあっても、自然は営みを続け、天下太平でいることに気づく。
 気候変動だ、地球温暖化の危機も、人類の存続の可否には影響するかもしれないが、これまでもそうしてきたように、地球は長い月日のなかでバランスを取り戻していけるのではないかと思えてくる。
 今回の旅の目的は、私が尊敬するコチチ族の長老に会うことだった。健康を損ねていると聞き、心配していたのだが、長老はきらきら輝き少なくともその精神は健康そのものにみえた。
 ネイティブのコミュニティーではどこでも糖尿病の蔓延が深刻な問題で、残念なことに、長老も最近になって糖尿病と診断されたのだそうだ。
 初婚の妻を糖尿病に奪われた長老は、数年前に再婚した相手も糖尿病と診断され、2度と妻を奪われたくないと、ヘルシーな食生活に向け、畑づくりも再開していた。が、2年前に心臓を患い、家にいることが多くなり、太ってしまったようだった。
 そういえば私が3年前から習っているイン・レイ気功は、臨床試験で糖尿病の治癒効果が実証されたところだ、と思い出したのは帰ってきてからだった。
 次の旅では、お世話になってきた長老に糖尿病治癒の気功の体操を伝授しようと思っている。

2009年7月12日日曜日

明るみに出た、ブ大統領の陰謀


 ブッシュ政権が9−11のどさくさにかこつけて、テロ防止の名目で大々的な国内での諜報活動を実施していたことが明るみに出て問題になっている。
 憲法違反の国内諜報が行われていたことはすでに2005年にメディアのスクープでばれていたが、以前に知られていた以上の規模で諜報活動は行われていた。これまでは、その非は、活動の合法性に太鼓判を押した法務省やホワイトハウスのタカ派の法律顧問にある、とされていた。同活動が法的根拠とした特別法が失効する直前、当時大統領の法律顧問だったアルバート・ゴンザレスがその延長承認のサインをもらうために、入院中で手術直後のアッシュクロフト法務長官の病室に押しかけ、麻酔もしっかり覚めやらぬアッシュクロフトにサインを迫ったものの拒否されていたことは明るみに出ていたからだ。が、今回公開された文書から、実はその背後では、ブッシュ大統領自身がアッシュクロフトに電話をかけ、承認を迫っていたことが明らかになったのだ。
 これまで、ブッシュ政権の陰謀といえば、ダースベーダーのチェイニーが悪玉で、ブッシュ政権は傀儡政権に過ぎない、という見方も少なくなかったが、ことあるごとにアホのふりをしてとぼけてすませていたブッシュ大統領自身も実際にはしっかり陰謀の一端を担っていたわけだ。
 またこれとは別に、チェイニー副大統領の指示で、CIAが議会に報告せずに、さらにはオバマ政権下で新に就任したペネッタCIA長官にも知らせず、つい先月まで極秘のプログラムに従事しており、それを知ったペネッタ長官が即刻同プログラムを中止させ、議会に報告したことも明らかになり、問題になっている。
 ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件の「大統領の陰謀」のなかみは、実は民主党の選挙活動の実態を探ろうと諜報活動に過ぎなかったことを考えれば、ブッシュ・チェイニーの陰謀は比較にならない大犯罪だ。
 もちろんリベラル派は責任追及の捜査を開始するようオバマ政権に迫っているが、オバマ大統領としては、この問題で共和党との対立が激化したら、念願の健康保険改革に関する法制化もストップすることは目にみえているから、ひとまずは、ことを荒立てたくない構えであることは同情の余地がある。
 だが、ブッシュ大統領自身が憲法違反の諜報活動をごり押ししていた証拠が公表されても、メジャーのメディアでは報道すらされていないのはどういうわけなのか、理解しがたい。
 アメリカのメディアは、あいかわらずマイケル・ジャクソン報道に明け暮れていて、それどころではない。かつては社会の番犬を辞任していたメディアは、完全に金権アメリカに飼い慣らされお座敷犬に堕落し、報道=娯楽。
 情けない。
 
 
 

2009年7月5日日曜日

カナダで祝ったアメリカの独立記念日



 私はつくづくヘソ曲がりに生まれついているらしく、アメリカにいたときには無視してきた7月4日のアメリカ独立記念日を、今年はカナダでカナダに住んでいるアメリカ人の連中と祝った。
 祝ったといってもアメリカ人流に、集まって屋外でバーベキューを食べながら、おしゃべりの興じるというだけだ。
 バーベキュー・パーティというと、日本だったら、お肉や魚介類から野菜まで、副菜も数々ならんで豪華絢爛だが、アメリカ人のバーベキューは、たいがいはできあいのハンバーグーやソーセージを焼いて、ハンバーガーやホットドッグにして食べるだけ。持ち寄る副菜も、ポテトサラダやマカロニサラダ、デザートはブラウニーかクッキーといったところだ。
 さて、カナダに住むことにしたアメリカ人は、外見はもちろんだが、なかみもカナダ人に近い気がする。
 アメリカ人が我先に猪突猛進するタイプAなら、カナダ人はおっとり構えた協調志向のタイプB。
 アメリカ人のパーティだと、必ず、場の注目を独占したがるようにひとりで喋りつづける人がいたり、テニスのマッチのように会話のテンポが速くて、すぐ議論になったりするのだが、バーベキューに集まった面々は一様にメローで、なごやかだった。
 集まったのはタートルレイク公園内にあるタートル湖のビーチ。もちろんアメリカの誕生日の集いなど開いているのは私たちのみで、隣のグループは、チェ・ゲバラやキューバーの大きな旗を翻していたのは、カナダらしかった。
 アメリカでは7月4日は独立記念日の祝日で、いたるところで、野外コンサートが開かれ、暮れてからはどこでも花火大会でにぎわう。
 なかでも最大規模として知られているのはニューヨークのイーストリバーも艀から打ち上げられる花火だ。
 ニューヨークにいたときは川向こうのブルックリンに住む友人たちと一緒に、彼らが住むビルの屋上から7月4日の花火を楽しんだこともあるが、ニューヨークではこうした大イベントの問題は、交通規制と交通渋滞。
 地下鉄は夜になると物騒だから車で、と思えば、渋滞とパーキング探しでたどり着くのに2時間以上かかってしまうから、つい出かけるのがおっくうになる。
 後半はイーストリバーから3ブロックほどで、花火見物には絶好のロケーションに住んでいたのだが、そうなると押し寄せてくる観光客の波に飲み込まれたくないから、外に出ないか、
連休に入る前から、ニューヨークを離れることも多かった。
 大晦日もそうだし、サンクスギビングもそうだが、世界からニューヨークに人が集まる日にはニューヨークにはいない、というのがクールなニューヨーカーの心得で、私たちもそうしていた。
 それでいて、何千マイルも離れてみると、懐かしく、イーストリバーの花火も今年はテレビ中継でみた。
 花火が照らすマンハッタンの摩天楼の夜景は、エンパイヤーステートビルも国旗の3色のブルー・レッド&ホワイトにライティングされ綺麗だが、レゴ細工のようにはかなくもみえた。
 住んでいたときには気づかなかったが、ニューヨーク暮らしだと、いつも目線が高層ビルに行くから、上を向いて歩きがちで、だから肩も凝る。
 巨大ビルの間をちょこまか歩き、高層アパートでタテに重なって暮らしていると、どうしても考え方もせせこましくなってくる。
 花火を見終えた頃には、当初のニューヨークへの郷愁も消え、よくもあんなところに住んでいたものだ、とあらためて思ってしまった。
 

2009年7月2日木曜日

Twitter & ホワイトハウス・ライブ


 北米ではマスメディアに変わってTwitter, Facebook, Flikr, MySpaceといったソーシャルメディアが情報流通の主流を担う時代が来たようだ。Twitterなど、私も人に誘われて登録をしたものの、他人の動向を逐一追跡するなんて、まるでストーカーみたい、とあまり興味も湧かず、しばらく何もせずにいた。けれど、最近ではテレビのニュースなどもTwitterから拾った話題を報道していたり、誰もが大騒ぎしているので、頻繁にチェックしだしたら、結構面白い。というか、いわば伝言版だから、情報源としては極めて便利であることに気づいた。関心がある分野の人々をフォローしていれば、彼らが注目するめぼしいニュースをリアルタイムで報告してくれるのだから、ボランティアのリサーチ・アシスタントの群団を雇ったようなものだ。
 いま見たばかりのホワイトハウス・ライブもTwitterでヒラリーが教えてくれた。たぶん公式ではなくヒラリーのファンが運営しているTwitterだろうけれど、リンクされているサイトはいつも公式情報源だ。
 今日のホワイトハウス・ライブはオバマ大統領の記者会見で、一流企業のビジネスリーダーたちをバックに、イノベーションが企業を成長させると謳う、グリーン・ディール自画自賛のピッチだ。
 記者から、「でも小規模企業はどうなるのか」と質問がくると、オバマ大統領は「こした大企業だって最初は小企業だったけれどイノベーションで大企業になったのだから同じこと。小企業にとってもエネルギーコスト20%の節約になる」と応えていた。
 ホワイトハウス・ライブを放映していたサイトは政府のニュースを集めたサイトで、ビデオを見ながら、その横の画面でチャットもできる。「以前は政治には無関心だったけれど、最近は病みつきよ」などというコメントもあった。
 オバマ政権はたぶん歴代の政権のなかでも最も広報能力にたけていると思う。
 本人自身が、大統領就任にあたって、ブラックベリーを手放すのは嫌だとだだをこね、セキュリティー・サービスの方針を変えさせたくらいハイテク、情報ジャンキーで、リアルタイムの情報伝達のパワーや重要性を知っているからだ。ソーシャルメディアやメール、ビデオニュースの活用ぶりはたいしたものだ。
 ホワイトハウスのサイト、www.whitehhouse.govに行けば、誰でもTwitter、Facebook, YouTubeなどで
米政治の先端を知ることができる。