Welcome to Mindful Planet

2010年2月16日火曜日

カーリング見物



 今日は珍しく雨も上がり、午後からはお日様も射してきたので、散歩がてら、歩いて10分ほどのオリンピックのカーリング会場まで行ってみた。
 おめあてはアメリカと日本の対戦。日本チームが目前のプレス席に着いたが、
カーリングというスポーツが存在することを知ったのも最近で、しっかり試合をみたことがなかったので、見方もよく分からないから観戦というよりは見物。
 あと1分で試合開始でそれまで練習、というアナウンスがあったまま、数レーンで各チーム、いつまでたっても練習が終わらないなと不思議に思っていたら、いつのまにか試合が始まっていたらしく、電光掲示板のアメリカ対日本の欄には、どんどん
アメリカの得点が増えていく。
 しかし、どうじっくり見ても、何がどうなると得点になるのか分からないし、退屈してしまい、三〇分ほどでひきあげてきた。
 でも、せっかく写真撮ったので、ここに掲載。
 今日の感想・・・ふだんは大人しく礼儀正しいカナダ人だが、ことアイスリンクや雪の上のスポーツとなると、俄然興奮して、アメリカ人もびっくりの大騒ぎになる。ビールを飲まなくてもスポーツ観戦で酔っぱらえる人たちなのだ。

2010年2月13日土曜日

オリンピックの舞台裏


 冬季オリンピックがいよいよ始まった。バンクーバー・オリンピックはシンボルマークもマスコットも先住民族の物語からモチーフを得たもの。開会式も先住民族の伝統のダンスをかわきりに始まった。
 そんなにもカナダの先住民族の文化が強調されているのは、実は今回のオリンピックが、先住民族が領有権を主張する地域で開催されているからだ。
 カナダもアメリカと同様、先住民族が全国に散らばって住んでいたところに白人の移民がやってきて、力づくや巧妙な駆け引きでその土地を奪い、都市や農地開発、自然資源利用で国家の基盤を形成してきた。
 カナダ建国にあたって英国女王やカナダ憲法は先住民の領有権を認め、各州は合法的に先住民から領有権を得ることが義務づけられたが、バンクーバーやウィスラーがあるブリティッシュ・コロンビア州では、どの部族も侵略してきた白人に降参もしなければ土地の譲渡にも合意せず、売買交渉も成立しないままになっていた。
 州が先住民の代表との領有権交渉の必要性を認め、交渉に入ったのはなんと百数十年たった1993年のことで、それ以降、何回か会談がもたれたがそのたびに決裂。
先住民の立場からすれば、土地は盗まれたまま、ということになる。
 そのためバンクーバー・オリンピック開催にあたっては、開催地域の領有権を主張する四部族、マスキーム族、スクアミッシュ族、リルワット族、ツレールワートッシュ族に、オリンピックは貧困と高失業率にあえぐ先住民社会にとって経済刺激になり、文化やアートを世界に紹介する絶好のチャンスになると持ちかけ、共催準備金などのかたちで合計数千万ドルを支払い、共催団体にまつりあげることにした。
 四部族の社会ではオリンピックの開催に備える施設建設や、オリンピックにかこつけたスキーリゾート開発のために環境が破壊されることなどを懸念して、オリンピック招聘に反対する人たちが多く、住民投票で公式にオリンピック共催を拒否した部族もあったが、いずれも、親ビジネスの部族政府のトップが住民の意向を無視して共催の契約にサインした。
 現代の先住民族の社会構造は複雑で、多くの部族では選挙で選ばれた政府のトップとは別に、住民が慕い尊敬する古代から続く世襲制のスピリチュアル・リーダーがいて、社会は白人社会への融合を求める人たちと、昔ながらの価値観を守った生き方を求める伝統派に分かれている。
 カナダでも先住民族は白人政府に伝統文化の行事や儀式を禁止され、子供を強制的にキリスト教教育の寄宿制学校に奪われ、しかもその子供達の多くが精神的虐待だけでなく肉体的、性的虐待で苦しめられたという歴史がある。そのため白人のやることには懐疑的、批判的になりがちだが、数世代にわたる圧政のあげく、諦めムードが強く、オリンピックに関しても、反対してもどうにもならない、という声も多かった。
 といったことを考えながら見ていた開会式。聖火台はホスト・ネーションとなった四部族、そして東西南北を代表する四本のトーテンポールが支えるはずだったが、機械仕掛けの故障で一本かけたままになったのが象徴的だった。
 先住民にとってはその欠けた一本は、ルージュ選手の事故死もあわせて、オーメンとして深い意味をもったことだろう。
 三部族のなかで特に貧しくオリンピックへの反対の声が強かったリルワット族ではオリンピック開会前日に同族を代表する伝統工芸士が変死。伝統にのっとって喪に服せざるを得なくなったチーフは開会の祝宴にも参加できないことになったのだ。
 もちろん、バンクーバー五輪はカナダの先住民にとってマイナスとも言い切れない。
先住民といってもBC州だけで203部族がいてそれぞれに文化も言葉もまちまち。歴史のなかで隣国として敵対することはあっても協力したことはなかった四部族が4ホスト・ネーションというひとつの団体を結成できたことだけでも、その意義は大きいという声もある。オリンピックの企画にもひとつの声で主張してきたからこそ、開会式でも舞台の中央に出ることができた、というわけだ。