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2009年6月11日木曜日

ワシのアーバンライフ


 バンクーバーの友人でフォトグラファー兼ヒーラーのオジャさんがブログでバンクーバー在住のワシを紹介しているのを見て、先週、シアトルのスチュアート公園にワシ見物に行ったことを思い出した。
 私たちはワシントン湖岸に広がるスチュアート公園のすぐそばに住む夫の叔父叔母宅をシアトルの拠点にしている。叔父はコールドフージョンを研究していた物理学者で叔母は生物学者だった。アメリカの大学教授は高給職とはいえないが年金がしっかりしているので、引退してからは悠々自適の生活で、ボランティア活動に明け暮れており、スチュアート公園の自然保護グループのメンバーでもあり、公園の生態系には詳しい。
 叔母の話によればスチュアート公園の森にはもう10年も前から高い枝にワシがりっぱな巣をこしらえた木があって、ずっと観察・保護されてきたという。最近ではカップルとみられる2羽のワシが棲んでいて、ヒナが2羽生まれ、カップルは子育てに励んでいる。鳥類のなかでは王様格のワシといえども、巣にヒナを放っておけば九官鳥やら他の鳥の餌食にされかねないので、どちらかが必ず巣に留まり、交代でどこかに出かけていってはエサを運んでくるのだという。夕方に夫婦のどちらかがエサをくわえて戻り、ベビーシッター役を交代することが多いので、ヒナの様子も見られるかもしれない、というので7時頃にみんなでワシの家族に会いに出かけた。
 ワシが棲む木は森の端で芝生に面していたが、一帯はわざと芝刈りされていない。人がやたらに木に近づいてはワシの迷惑になるかもしれない、という公園側の配慮だ。1年に一回はボーイスカウトのグループがこの一帯でサマーキャンプを開くが、今までは、少年たちは特に問題になるような行動は起こしていないそうだ。
 ほら、あそこよ、と叔母に指さされても肉眼では分からなかったが、カメラの望遠レンズを通してみると、たしかに、小枝を綿密に交差させ籠のようにしつらえた巣があって、ワシが白い頭だけをのぞかせていた。
 その巣はこまめにワシが修復はしているものの基本構造は10年以上そのままらしく、ワシは優れた建設エンジニアということになる。2年前にシアトルもバンクーバーも大嵐に襲われ、大木がばたばた倒れたり大洪水になったり、このワシの巣もダメージを受けたが、その後、ワシは自力でしっかり修復したそうだ。
 ちなみに日本では白頭ワシとよばれるワシはアメリカではバルド・イーグル、つまり禿げワシと呼ばれている。
アメリカ合衆国のシンボルなのだから、もう少しましな命名はなかったのかとも思う。頭が禿げているわけではないのだし。
 ワシは実はアメリカ大陸の先住民族、アメリカ・インディアンが創造主の遣いとして特に尊重してきた鳥だ。アメリカ合衆国はそもそも建国の父達が先住民族が実践していた合衆国制度と議会制民主主義に感心してその理念や仕組みを借りて建国した国。ついでに先住民族が崇拝するワシもシンボルにしたのだろう。
 アメリカ・インディアンの文化ではいまでもワシの羽根は人を真実の生き方に導く、いちばんのお守りだ。私はニューヨーク州北部のモホーク族の春祭りで、長老が自然に感謝を捧げる祈りの言葉を述べ、祈りが届けばワシがやってくる、と言うと、本当にワシがどこからともなく飛来し会場の上空を何回か旋回して去っていったのをみて感動したこともある。
 最近ではアメリカのあちこちの都市でもワシがみかけられるようになったが、アメリカ・インディアンの言い伝えによれば、これは吉兆ではない。空高く舞い、人里離れた高山に生息するはずのワシが人里に降りてきたら、それは自然の調和とバランスが崩れているという創造主からのお告げなのだ。
 ちなみに、ワシの狩猟や捕獲はいまでも連邦法違反で、アメリカ・インディアン以外は、ワシの羽根を拾って所有することもアメリカでは違法行為だ。ワシは人には手の届かない遠くであがめるべき存在なのである。

 
 

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ハロー エリコさん、
昔の同級生、アツコです。

実は私2年前の4月にキリスト教(プロテスタント)の洗礼受けました。動機は、夫の家が代々クリスチャンだからその流れで・・・なんですが。
学ぶべきことは山ほどありますが、まだまだ勉強不足です。
そんな私にとって、アメリカインディアンの云うところの

「人里離れた高山に生息するはずのワシが人里に降りてきたら、それは自然の調和とバランスが崩れているという創造主からのお告げなのだ。」

という部分に胸が痛みました。
私も危機感を感じています。

ブログの更新楽しみにしていますよ(@^^)/~~~