アーユルヴェーダ(インドの伝統的な健康学)に関心をもつ人たちが集まるグループが主催した、手作りギーのワークショップに参加してみた。
アメリカ・インディアンのヒーリングやハーブには結構詳しくなったけれど、インディアン(アメリカでインディアンといえばインド人を指す)の伝統療法には全く無知なので、アーユルヴェーダには興味があった。
ギーも健康に良いと人から聞き、市販のギーをひと瓶買っては見たけれど、何でできているかも使い方もよく分からずそのままになっていたので、学びのよいチャンスと思ったのだ。
サリーを着たインド人の女性が・・という予想に反して講師はイギリス英語を話す白人の女性で、母親のギーづくりを見て育ったというインド人風の若い男性(だったら、何で習いに来てたの?)と私の他は全員、参加者は白人の女性。北米のニューエージ関連のイベントの参加者はなぜか、ほとんど白人女性なのだ。
乳脂肪からタンパク質などを除いて純粋な油分だけにしたギーは、ハーブの薬効分を細胞に浸透させやすいキャリア・オイルとしてアーユルヴェーダで重要視されている油。アーユルヴェーダの体質分類でいうと「火の性質」を減少させるので、胃炎など炎症系の癒しにも向き、やけどの手当などにも最適、などという説明がまずある。
6月の月は、ストロベリー・ローズ・ムーン。イチゴが実り、バラが美しく開花する季節に、満ちた月のエネルギーをもらって、ハーブ入りのギーを手作りしましょう、
というのがワークショップの狙いだそうだ。
まずは、コリアンダー、クーミンとフェンネルの種を軽くから煎りしてからすり鉢ですって粉にする。
叡智、浄化、トランスフォメーションを意味するサンスクリット語の祈りの歌を歌いながら、みんなで一緒にすり鉢でする。
そして、次は乾燥させたバラの花びらも同様にすり鉢で粉末にする。ローズは紅い顔料のようになり、エレガントな香りを漂わせる。
アメリカ・インディアンの薬草療法でも、草を摘んだり、薬に調合したりする際には祈りの歌を歌う。共に、妙薬を授けてくれた自然への感謝を伝えるものだ。
古代から伝わる人の自然の関わり方には共通性があって優しい。
ちなみにバラはハーブティーにもローズ・ウォーターにもできるが、オーガニックに限る。市販の切り花などは農薬漬けなので薬効どころか猛毒だ。
ワークショップの会場となったスタジオには世界各国から集められたすり鉢のコレクションがあった。
穀類を潰して粉にしたり、植物の実や種や葉っぱをすり潰してスパイスや薬をつくるという作業は古代から世界中で行われてきた。
すり鉢は女性、すりこぎは男性、陰陽のエネルギーの調和だ。
さて、ギー作りの材料は、以外なことに市販のバターだった。
たぶん伝統製法とはいえないのだろうけれど、ワークショップではオーガニックの無塩バターを鍋に入れ火にかけただけだった。
バターが溶けて煮立つ音に耳を澄ませながら、頃合いをみて火を止め、浮いてきたカスをていねいに取り除けばできあがり。
カスといってもクリームのようなもので、ワークショップでは砂糖よりヘルシーな糖分として最近流行りだしたメスキートの粉を混ぜると、それだけでソフトキャラメルのようなおいしいお菓子になる。
できたてのギーは美しい金色の透き通った液体で、甘い香りがする。それをガラスの保存容器に入れ、好みのハーブを混ぜてかきまぜ、よくさましてからフタをする。
粉にしたローズの花びらを小さじ半分くらいいれてみたら、きれいな、まさにロゼ色のギーができた。
きちんと不純物を取り除いて作ったギーは常温で10年でも持つそうだ。
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